萩原慎一郎の最初で最後の歌集「滑走路」

2017年6月、有名私立中高一貫校でいじめを受け、歌人を志すも非正規として働き、32歳で自ら命を絶った萩原慎一郎の最初で最後の歌集「滑走路」が死後半年を経て出版された。 箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる屑籠に入れられていし鞄があれば すぐにわかりき僕のものだと東京の群れのなかにて叫びたい 確かにぼくがここにいることきみのため 用意されたる滑走路 きみは翼を手にすればいい …

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映画評 バイス ディック=チェイニー副大統領物語

映画評でも「後味悪し!」と書かれていたこの映画、まさしくそのとおりであった。              私自身、胸に刺さるような映画を見ることが多い。考えさせられ、後を引く映画こそが、自分の血肉となっているとの実感がある。 そんな意味では、この映画も反面教師としては、同類とも言える。それにしても、ひどい! コメディとして、笑える場面は随所にあるとしても、まるで、テキーラをあおり、安紙幣を…

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映画グリーンブック 死ぬまでに一度ぐらいは勇気を示したい・・・

基本的に洋画しか見ない。それは頭をカラにして楽しめるか、胸に突き刺さる作品を好んで見るからで、前者ではハリウッド作品のように邦画は制作費をかけられないので、迫力に欠け、後者ではストーリーが複雑であったり、社会に一石を投じる作品、特に実話であればなおのこと敬遠されるからだ。 米映画でも現在の黒人差別を指摘するような作品は、大きな興行収入は見込めない。事件後には全米規模で抗議集会が開かれ、一部では…

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