トランプ大統領誕生後、アメリカは民主主義を取り戻したか?
6日投開票のアメリカ上院・下院議員選挙は、8年ぶりに下院で野党・民主党が過半数を取り返した。
上院は共和党が過半数で踏みとどまった。
これは民主主義の勝利か?
否!である。
ドナルド=トランプ大統領の成果として、
平均所得の増加
大統領令による大幅減税による可処分所得の増加
大統領令による大幅減税による企業収益の増加
米朝会談の実現
米中貿易の緊張感のきっかけなどの米国の景気の好調を受け、「ブルーウェーブ」と呼ばれた女性や若手候補よる「政治を変えよう運動」は、不十分な結果を残した。
ティティやアリアナ=グランデ、ディカプリオ、ブラピ、ジャスティン=ビーバー、ジェーン=フォンダなども「投票に行こう!」=「民主系候補に投票を!」と呼びかけ、CNN出口調査で初めて投票に行った人の62%が民主党に投票(36%が共和党)、年齢別では18~29歳の67%が民主党に投票。
ティティ発言で注目されたテネシー州の上院候補では、投票日も「意思だけでなく、投票して変化を起こさなきゃ!」と民主党候補を応援したが、フィル=ブレデセン(74)は落選し、直接批判したマイシャ=ブラックバーン氏(66)が当選してしまうなど、
白人・男性・富裕層の共和党支持者に若者・女性・移民による多様な民主主義を見せつけたものの、力及ばずとなったのは残念だ。
そもそもアメリカはリベラルな国だと、『華氏119』でマイケル=ムーア監督が
「調査を見れば、大多数のアメリカ人はリベラルで左寄りのアジェンダを支持している。
女性への賃金平等は82%。
75%の人は移民は良いと言っている。
さらに78%の人が銃を所有せず、大銀行はつぶれるべきと58%の人が思っている。62%の人が最低賃金が増えるべきだと。
問題のすべてにおいて、アメリカ人はリベラルな立場をとっている。非常にリベラルな国なのです」
と示してしており、その調査結果に合致した選挙結果とはないっていない(トランプ支持者は、自身がそうだとは顕在化しない傾向にあるとは言え・・・)。
但し、上院では、トランプ氏が民主党から切り崩した「ラストベルト」と呼ばれる中でも代表的な五大湖南部の4州(ウィスコンシン、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア)では、「トランプの岩盤州」と呼ばれていたが、全て民主候補が当選している。
下院こそ真骨頂を見せ、
“ブルーウェーブ”の中心となり、29歳で最年少当選を果たしたの民主党ニューヨーク州14区の下院候補オカシオコルテス氏による当選後の「アメリカの社会・経済・人種における正義を求める大きなうねりだ」には心躍らされたし、
「私がイスラム教徒、ソマリア難民として初めて下院議員になることで、今まで与えられてこなかった機会が与えられるのです」と語り、ミネソタ州5区で当選した、ソマリアの難民キャンプで生まれ、12歳の時にアメリカに移民してきた史上初のソマリア系でイスラム教徒のイルハン=オマール氏(37)、
同じくミシガン州13区では、パレスチナ人移民の娘で、ミシガン州初のイスラム教徒としてラシダ=トレイブ氏(42)が、
カンザス州3区では、先住民ホ=チャンク・ネーションの出身で、史上初のネイティブ・アメリカンとして、カンザス州初のLGBTQであることをオープンにしている連邦議会議員として、シャリス=デイビッズ氏(38)が、
同じくニューメキシコ州1区では、先住民ラグナ・プエブロ族のデブ=ハーランド氏(57)ら、100名を超える女性議員が当選を果たした。
また、ミシガン州とカンザス州では、民主党の女性候補が共和党の現職男性議員に勝利を収める“ジャイアントキリング”を成し遂げ、アイオワ州、メイン州、サウスダコタ州、米領グアム島では初の女性知事が誕生。
コロラド州知事選では、初のゲイ州知事となった民主党候補のジャレド=ポリス下院議員が当選し、
ミネソタ州2区では、現職で自身のラジオ番組などで同性愛者を「強姦の犯人」と比較し、同性婚を非難するなどLGBTQに対する攻撃を続けていた反LGBTQを掲げた共和党のジェイソン=ルイス氏を、レズビアンであることをオープンにしている民主党のアンジー=クレイグ氏が破った。
象徴的なオカシオコルテス氏についてもう少し書くと、
彼女は2月までウエイトレスをしていた彼女は、
ブロンクス地区で、労働者階級の両親のもとに生まれる。
母親は自治領プエルトリコ出身。
ボストン大学に在学中、民主党上院議員で2009年に死去したテッド・ケネディの下で移民問題に取り組み、卒業後は教育分野やコミュニティ・オーガナイザー(社会福祉活動家)として活動。
6月の中間選挙の予備選では民主社会主義者として初出馬し、2016年大統領選の予備選で旋風を引き起こしたバーニー=サンダース上院議員らの民主党進歩派(プログレッシブ)として、「カナダやイギリス、フランスのような皆保険と移民に優しい社会」を重点公約として掲げ、
民主党のベテラン、ジョー=クローリー下院議員に、劇的な勝利を収めていた。
2020年の大統領選挙候補でも、「オバマの再来」とされる有力な候補も出てきた。
民主党下院議員のベト・オローク氏だ。
共和党の現職テッド・クルーズ氏に破れはしたものの、
「寛容な社会」の実現を訴えて若者からの支持も取り付け、
「共和も民主も無所属も、皆いっしょに国のため、すばらしいことをしたい」と、分断ではなく対話と融合を公言しており、前述の下院議員たちよりも“保守の知恵”を持つようだ。
遅ればせながら基礎知識を示す。
上院議員選挙は、任期6年、定数100の内35議席の改選で定数1で争う。
民主49(改選26非改選23)→民主系無所属を含み46、共和51(改選9非改選42)→51、未確定3。
下院議員選挙は、任期2年、定数435で州ごとの定数2以上で争う。
民主193→225,共和235→200(過半数は218、改選前欠員7)、未確定10。
オバマ大統領になって1回目の中間選挙である2010年中間選挙では、共和党は63議席を失っており(共和党257→193,民主党178→242議席へ)、今回は「踏みとどまった」と言える。
「投票しないで」と若者に呼びかける高齢者たちのムービーが登場、その意図とは 「GIGAZINE」
2018年09月28日 20時00分
https://gigazine.net/news/20180928-dont-vote/
では、
トランプ支持者の上品な身なりのおばあさんやおじいさんたちが次々に現れては、若者に対して「投票しないように」と呼びかけ、逆説的に「若者が選挙に行かなければ、将来へとツケを残す政治になるよ」と、動画で語りかけています。
じぃさん「現状で、何も問題はない」
じぃさん「金持ち向けの税金がカットされた?そうだろう、私はめちゃくちゃ金もちさ」
ばぁさん「気候変動?それはあなたたちの問題。私はもうじき死んでしまう」
ばぁさん「学校での銃乱射事件はとても悲しい」と語りますが……
「でも、もう50年も学校に行っていないから」と、またも他人事。
じぃさん「きっと君たちはそういうのは嫌いだろう」
じぃさん「そして、Instagramでミームを拡散するんだろう」
ばぁさん「天気が良ければ、ちょっとしたデモ行進に加わったりもするかもしれない」
ばぁさん「この映像もFacebookでシェアしたりするでしょう」
じぃさん「だが、君たちは投票には行かない」
ばぁさん「あなた方若者は、決してしない」
じぃさん「しかし、私は投票する」
ばぁさん「中間選挙、予備選挙……」
じぃさん「すべての選挙でね」
じぃさん「我々は選挙に行く、しかし、あなた方は行かない」
じぃさん「なぜなら、我々は『実行家』だから」
ばぁさん「泣き言ばかり言う『不平家』ではないから」
じぃさん「我々は順調にやっているよ」
日本でもこの動画こそ、若者に広まるよう、有権者教育で使われるべきです。
日本語訳があるので、クリックして見てみてください。
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