おばぁちゃんにナンパされた。

子どもの頃、私の両親は、ホームレスのオジサンのそばを通るとき、「勉強せんかったら、あないなるんやで!」と、つないだ私の手をぎゅっと握りしめた。
金銭的にはそれなりに成功したような親だったが、その価値観を、私は共有したことはなく、ずっと違和感を感じ続けていた。

一方、こぎれいな人から子どもだった私が声をかけられると、親は誇らしいのを隠しつつも謙遜して見せており、その姿にも違和感を感じた。

当時は傷痍軍人(今から思えば植民地から徴用された元日本兵であったのだろう)が、天王寺の陸橋などで物乞いをしている姿もあったが、そんな場合も親は避けるように通過した。

私が「なぜあのように物乞いをしているのか?」質問しても、答えはなかった。
小金持ちになった彼らに、社会的弱者であるその姿は見えていなかったのだろう。

大人になって、親には猛省を促した。
それ以後も何度か価値観が間違っていると話したが、「自分たちは頑張ったので食えたのだ」と自己責任論を持ち出し、視野の狭さや想像力の欠如を反省どころか開き直るのだった。
高齢となり、人の助けが必要になって、彼らは気付いたのだろうか?
そんな感情の吐露を受けた事はないが。

これを今、安倍支支持者の姿に重ね合わせている。
排外主義で、都合よく銭だけ持って来い外交だけをしたいからこそ、安倍政策に賛同しているのであり、それらの考えの人との対話を重ねれば重ねるほど、自分以外全員沈没でも何の痛痒感じないのではないかとの思いが強くなる。

アジア人に来るな、出て行けと言う一方、観光や爆買いだけしろとの矛盾。

ネトウヨ掲示板をご覧にならないと、「そこまでひどくないだろ?」と言われそうですが、私のように在特会系やネトウヨらと直接対面対話しなくとも、
ネトウヨ掲示板を見れば、日本以外の世界全て沈没、日本でも自分の周囲以外全員沈没と考えているとしか思えない投稿が山盛りです。

貯蓄ゼロ人口が半分を占め、格差は拡大し、労働人口減で雇用が拡大したと言えども、その求人の多くは非正規だとの経済や生活状況での苦しみを、その根源でなくより弱い方に向けているストレス発散が、安倍政権に抗う人々への罵声や誹謗中傷となって表れているのであり、その志向の先に広義の平和など想像の片隅にもないだろう。

そのような反面教師の教育を経て、私は子どもの頃から路上で困っていそうな人に会うと、声をかけ、荷物を持ったり、道案内したりしてきた。
自分の子どもにも、そんな背中を見せられてきたのではないかとも思っている。

今でも「手伝いましょうか?」の声掛けは、場所を選ばずしている。
明らかに歩きなれている様子でも、白杖をついて歩く人には、特に気をつけて声をかける。

以前、天六の商店街付近の歩道で、「歩きなれているそうだから、おせっかいかな?」と思いつつも声をかけたところ、関テレの方に道路を渡って銭湯に行く日々の歩行であったが、「助かった」と感謝されたからだ。

あの付近の歩道では、自転車と歩行者が混在している。
どうしても白杖が体よりも前に出るので、それを自転車がひっかけることがあり、折られてしまうと、たちまち歩行に支障をきたすのだ。
白杖を折った自転車は、折れたことを知っていても、悪びれるそぶりもなく「あ、ごめん」と、簡単に通り過ぎてしまう。
だが、自分の目である白杖を使い物にならなくされると、そこから先は道の状態もつかめず、真っ暗闇の不安な世界が広がる。

そこまで自転車で白杖を折って通り過ぎる人に、想像力は働かない。
周囲の人も同じく、自転車乗りをとっ捕まえて、弁償を迫ることもない。

視覚障がい者にとって、混雑した歩道がそんな危険な状態だと、その人に訊かされるまで、私も無知な状態で、反省した。

以後、特に白杖を使用している人が一人で歩いている場合には、声掛けするようにしている。


反面、近年の車椅子使用者は、一人でも電動車椅子での移動が多くなったので、声をかけることは少なくなった。
運び屋かと見まがうほどの大荷物を下げて歩く高齢者も減ったように思う。
ガイドがついて外出する人も増えているようだ。

それでも高齢者が一人で、日々の買い物などに出ている機会に遭遇することもある。
前置きが長くなった。
そんな場面に出くわした最近の話。

ショッピングモールに入ろうと、歩道を歩いていると、タクシーから高齢の女性が降りてきた。
降車の手伝いをタクシードライバーはしていたものの、店内までは付き合っていられないのだろう、不安そうに見守っている。
段々私が近づいていったのだが、おばぁちゃんは一歩分を数分割しながら、ゆっくりと歩みを進めている。
牛歩戦術か?
とも思ったが、街中でそんなことをする必要もない。

私はおばぁちゃんに近づき、いつものように声をかけた。
「お手伝いしましょうか?」

おばぁちゃんは「助かるわ」と返答し、タクシ―ドライバーもこれで安心したのか、「お願いします」と言い残し、車内に戻った。

店内に手押し車が預けてあり、それがあればもっとスムーズに歩を進められるとわかったので、店まで手を添えて歩き出した。

エスカレーターまで50mほどの距離を、休憩しながらボチボチ進む。
彼女は途中何度もお礼を言いつつ、「昨日は調子よかったのに・・」と嘆く。
よくよく聞いてみるとパチンコに行ったとか。

「勝てへんでしょ? あほらしいからやめとき。 どれぐらいいてました?」
「5時間いて負けた…・」
「そらクーラーで体冷え切って、体調も悪なるわ。 もったいない、ナンボまけたん?」
「3万円」
「負けすぎでしょ! 友達と美味しいもんでも食べたに行ったらよかったのに。 今度からそうしはったら?」

このような会話を続けつつ、何とかエレベーターもタイミングを見計らって乗り降りし、お店で手押し車を手にすると
「コーヒー飲みにいこ」

逆ナンパもないし、それもおばぁちゃんにされるなんて光栄だったけど、他の待ち合わせ時間が迫っていたので、「ごめんなさい」してしまいました。
タカさ~んショック!!(by紅鯨団)

店の人にガイドの引継ぎをお願いして、その場を立ち去る私に、彼女は何度も「ありがとうね」と言ってくれた。
話し相手として必要とされていたのかもしれないと、後ろ髪を引きずられる思いで待ち合わせ先へと向かったのだが、待ち合わせ時間をずらしてもらってでも、もう少し彼女の話を聞く時間を持てばよかったかもと、後で思ったりもしたのでした。

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