沖縄タイムスが公開した、戦後沖縄で米軍・米軍属が起こしてきた事件事故の記録

「命、尊厳、もう奪わせない」と題した、戦後沖縄で米軍・米軍属が起こしてきた事件事故の記録が、「沖縄タイムス」6月19日付で公開されています。

これが1972年の日本復帰以後も続いているのは、1952年に結ばれた行政協定を前身とし、60年に強行採決された日米地位協定17条(「公務中」の場合、第1次裁判権は米側にあるため、日本側に身柄を引き渡されない限り、起訴できません)を悪用して、米兵犯罪を「職務中だから免訴する」との手段を最高検が通達しているからです。

これは1953年10月28日に日米合同委員会裁判権分科会で、「非公開議事録」の形式を結ばれた密約で、日本は米国に対し、特に重要と考えられる事件以外は裁判権を行使するつもりがないと約束しています。

この密約を最高検察庁は、日本国内で米兵及びその家族らが犯罪を犯した際の扱いなどを定めた 「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」 (1972年法務省作成)で、公務中でなくとも公務中だと強弁して、起訴もせずに国外に逃がしたりしてきました。

この資料を国会図書館が古書店より収集し開示していると、2008年5月30日、新党大地の鈴木宗男氏が『北海道新聞』記事に基づき、密約や在日米軍犯罪について質問主意書を提出したことで、政府はこの資料が開示されていると気付きます。
そして国会図書館は、法務省から閲覧制限の申し出があったため、内部の委員会で検討を行い、 その結果、6月11日に閲覧禁止を決めます。
自民党政府の酷い情報隠蔽のやり口です。

ジャーナリストの斎藤貴男さんが2009年2月16日、閲覧禁止措置の取消しを求めて東京地裁に提訴した提訴したところ、国立国会図書館は、資料の閲覧禁止措置を、ほぼ全面的に解除し、現在に至ります。
訴訟自体は国家賠償請求として継続するも、2013年9月24日東京高等裁判所第23民事部は、地裁に引き続き斉藤さんを敗訴させます。

さすがに現在は有罪となる例もありますが、以前起訴率は低く、
では、 昨年、日本国内で発生した米軍関係者による一般刑法犯の起訴率が18・7%にとどまっていることが、日本平和委員会が情報公開請求で入手した法務省資料で明らかになりました。全国での一般刑法犯の起訴率(2014年)38・5%と比較して半分以下です。
と報道されています。

沖縄に基地を押し付ける結果となっているのは、内地でも米編犯罪が頻発していたから。
一例をあげます。
1957年1月30日、群馬県群馬郡相馬村(現・榛東村)で在日米軍兵士・ウィリアム=S=ジラードが日本人主婦を射殺した、いわゆるジラード事件。
薬莢を拾う事を目的に演習地内へ立ち入った日本人主婦(46歳)に対して、第1騎兵師団第8連隊第2大隊のウィリアム=S=ジラード三等特技兵(当時21歳、イリノイ州オタワ出身)が、「ママサンダイジョウビ タクサン ブラス ステイ」と声をかけて近寄らせ、主婦の背後からM1ライフル装着グレネードランチャーで空薬莢を発射し、主婦を即死させたもの


すったもんだの末、なんとか日本で裁判が行われたものの、11月9日、前橋地裁・河内裁判長は情状で
「危険な立ち入り禁止区域に入って、無秩序に行動した農民にも責任がある」
「わざと命中するように撃ったのではない」
「被告は深く反省し、再犯の恐れがない」
などとし、ジラードに懲役3年・執行猶予4年という軽い判決を言い渡します。

しかしこれにはカラクリがあり、94年11月20日、外務省は戦後の「対米外交文書」の情報公開を行うと、ジラード事件に関して、米側が日本の裁判権を認める代わりに、「ジラード3等兵を殺人罪より軽い傷害致死罪で起訴すること」、「裁判では可能な範囲で判決が最大軽減されるように働きかけること」といった条件を出していたことがわかります。
また57年6月16日に岸首相がアイゼンハワー大統領との日米会談のために訪米した際、「米の裁判手続きが終わるまでジラード三等兵の公判開始を延期してほしい」という要請もあったともバレます。

そして当のジラードは執行猶予ですので、12月6日に日本人の花嫁を連れて、横浜港から米軍用船で帰国しています。

この怒りが内地から基地を出して行ったのです。
安保が必要であるなら、そのリスクも引き受け、内地で引き取るべきでしょう。

防衛省HPにある森本敏・防衛大臣会見概要 平成24年12月25日
からも沖縄にある必要性は地政学でなく政治の問題だと発表されているのですから。

「例えば、日本の西半分のどこかに、その3つの機能を持っているMAGTF(海兵隊が持っている機能のうち、地上の部隊、航空部隊、これを支援する支援部隊、その3つの機能をトータルで持っている海兵隊の空地の部隊)が完全に機能するような状態であれば、沖縄でなくても良いということだと。
これは 軍事的に言えばそうなると。では、政治的にそうなるのかというと、そうならないということは、かねて国会でも説明していたとおりです。」



オマケ
地位協定の運用マニュアルである逐条解説書は、04年の正月付琉球新報で8ページの特集で掲載されています。
これを読み解けば、私が日本を独立国でなく“保護領”と呼んでいることが、理解できよう。


米兵の公務執行妨害や恐喝、横領、詐欺などの起訴率0%、


環境保護規定がなく、PCBなど有害物質も垂れ流し、


米軍の容疑者引渡しについての恣意的運用、


低空飛行や、領海内での潜水艦浮上掲旗義務も守らない、


維持管理費を払わないために施設を日本側に譲渡、


米兵犯罪などの被害者補償金を日本政府に肩代わりさせる、


米軍基地内から入国管理局を通さずに入出国し放題、


基地を日本全土に配備し放題、


砂川裁判の最高裁審理で明らかになっているように、最高検察庁が米・国務長官の指示通りの最終弁論を行い、最高裁長官は大法廷での評議の内容を細かく駐日米 大使に報告したあげく、米・国務省の考えた筋書きにそって判決を下すといった、日本の国内法の上位に安保を中止とした米との条約軍が位置し、その上位には 日本国憲法が位置せず、憲法判断はされない、


日本側による米軍施設や財産の捜索・差し押さえ・検証拒否、


米軍用機事故時の米軍の民有地への承諾ない立ち入り(英語の正文と日本語の訳は異なる)、

等々。




地位協定の密約性のみならず、サンフランシスコ講和の日本語条文は、正文ではなく仮訳であり、国会や世論のチェック機能に頼ることを自ら拒否した、米依存の秘密外交への入り口である。



このような不平等な地位協定は、同じ敗戦国のドイツやイタリアはおろか、一触触発状態にある韓国や占領下にあったイラクにも劣る。

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